福祉:特集記事その① 特別支援学校におけるキャリア教育 2020年7月1日 投稿情報「知的障がい者へのキャリア教育のスタート」
知的障がい者へのキャリア教育のスタート
障がい者(軽度知的障がい者)を一般就労させるための各種取り組みの中で、教育現場での外部専門職能の活用についてのレポートです。
弊社は2006年より福岡市が軽度の知的障がいを持った高校生(特別支援学校高等部)むけに設置した福岡市立特別支援学校「博多高等学園」http://www.fuku-c.ed.jp/schoolhp/yghakata/で職業教育授業や教員向け研修などを実施してきました。 長い取り組みの中で、福岡モデルになりうる授業カリキュラムも完成し(採用環境に応じてメンテンナンス可)ました。 その取り組みのストーリー展開を紹介します。
激変する雇用環境や採用マーケット、企業の人材観や要員管理、また就職主体者のキャリア観など適時対応しながら参考または実際に活用できるレポートになると考えます。
もともと弊社は厚生労働省事業の全国高校生就職ガイダンスの実施(施策黎明期〜成熟期)において、九州沖縄全域と中国・四国地方の一部まで担当させて頂いておりました また、全国の主に公立の学校長や進路指導主事、キャリア教育専門家向けの指導官として全国で講演も実施してきましたので、就職のマッチングと就職主体者や教育現場における授業計画の立案、キャリア教育の在り方や実施方についていのアドバイスなど通じて、高校生や大学生で特に我が国独特の新卒採用マーケットへの基本的な取り組みにはそれなりのノウハウを確立しておりました。
障がい者に特化した就労支援事業の発端は、福岡市教育委員会(福岡市立特別支援学校「博多高等学園」)からの相談で、新規に設立した市立の戦略校の支援に携わる事からスタートしました。 当時の学校長や進路指導主事の教員達が開明的で、旧来の障がい者教育のスタイルからの変革を模索していたので、策定レベルの各種試案を積極的に授業に取り組み、試行錯誤の時間を頂く事ができたのも、現在のモデルケースの構築に大きな効果があったのです。
当時は国のキャリア教育体制の強化のもと全国で指導官として講演を重ねましたが、実状は特に公立学校の教員の一部というか某県など県全体が今では考えられませんが、キャリア教育論そのものに否定的で、受講者のなかにはキャリア教育という文言にすら拒否感を示しており、今まで通りの進路指導で何が悪いと質疑応答で持論を飛ばされていたのです。 ですので、健常者のキャリア教育・職業教育がまだ十分に受け入れられていない時に、障がい者向けの就労支援で教育体制の変革をするわけですので、教職員共々まさに手探りの期間が続いておりました。
福岡市立特別支援学校「博多高等学園」自体は、通常の進学を目指す普通高校や就職を目標にした実業系(商業や工業)の高校はもとより、従来の特別支援学校とは授業カリキュラムも学校施設も大きく異なります。むしろ専修学校に近いイメージです。 校内には、ピッキング設備、被服、衛生、介護、レストランサービス、園芸、清掃設備等々、職業と直接関係する高レベルの施設が校内に設置されています。 また、教員も教育関係はもちろん各種専門職の教員も配置されており、従来の特別支援学校にはない各種設備が充実しています。
2020/07/01
執筆署名:佐藤康弘
- 次回は試行錯誤時期のカリキュラム状況をレポートします。